書評:松樹剛史「スポーツドクター」

「ジョッキー」に引き続き,松樹剛史さんの著書「スポーツドクター」を読みました.スポーツ専門医を軸に,クリニックでアルバイトをする女子高生をストーリーテラーとして,高校のバスケット部(これバイトの女子高生の話),リトルリーグ,筋肉とプロポーションの間で葛藤する過食症の女子水泳選手,ドーピングをテーマに語る青春小説.

スポーツドクター (集英社文庫)
松樹 剛史
集英社 (2005/10/20)
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…あんまり面白くない.

スポーツドクターという着想は面白いんですけどね,どのテーマも何だか足りなくて.

最後のドーピングの章が一応クライマックスだと思います.「ドーピングが善か悪か」というテーマで登場人物達に語らせるシーンがあるんですが,それすらも物足りない.著者がいろいろ取材して勉強しているのは分かるんですが,ひとつひとつの掘り下げは甘いし,ドーピングに関する著者の思い入れが強い訳でもない.ついでに言うとラブストーリーは邪魔.

ある意味浮世離れした医者,常識的な視点を持つ人物(女子高生),気怠くて大人の看護婦…ときたら奥田英郎「空中ブランコ」な設定ですが,そこには至らない.「空中ブランコ」のようにいっそヒューマンコメディにしたら面白いと思うんだけどなぁ.

まだ若い作家のようですし,「ジョッキー」は面白かったですし,次回作に期待.