マデリン・ペルーとマーヴィン・ゲイとタミー・テレルと

今月号のEsquireからの話題.

マデリン・ペルーという女性ジャズシンガーのインタビュー記事がありました.記事が面白かったのでレコード屋さんで早速CDを試聴.あまり好きな声ではなかったので購入を検討中ですが,k.d.ラングとノラ・ジョーンズに通ずるカントリーチックでいい感じ.

それはさておき,楽曲よりも記事中にある彼女のコメントに共感したのでエントリ.

「デュエットをテーマにしたの.2人の素敵なアーティストがコラボして生まれる音楽が好きなのよ」

うわぁ,いいこと言うなぁ.これは僕がアカペラをやってきた理由でもあるのだけれど,声が集まる瞬間って奇跡ですからね.

彼女は記事の中で5枚のデュエットアルバムをリコメンドしています.エラ・フィッツジェラルド,ジョン・コルトレーン,レイ・チャールズ,アントニオ・カルロス・ジョビン…そしてマーヴィン・ゲイ&タミー・テレル

(デュエットのベストか…買おうかな…)

僕はマデリンと同じ理由でデュエットが好きなんですけど,中でもマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルは最高にして別格.僕にとって空前の,そしておそらく絶後のデュエット.「You're All I Need」は墓場まで持っていくアルバムBEST3のひとつです.

再び,マデリンのコメントを引用します.

「マーヴィン・ゲイのデュエット・アルバムで最もストレートにセックスを感じさせる一枚.この時代,音楽で性的なテーマを扱うのは非常識なことだったの.でも恋愛について深く語るとき,セックスを無視するわけにはいかないもの.この2人だから当時それを歌うことが許されたんだと思うわ」

的確すぎますよマデリンさん.

2人のデュエットは聴いているこちらが赤面するくらい甘く,ストレートです.ですが後世で聴く僕達はテミー・テレルが脳腫瘍で亡くなることを知っています.タミーの死に関するマーヴィンのコメントを引用します.

イナー・シティ・ブルース―マーヴィン・ゲイが聴こえる

タミー・テレルが腕のなかに倒れ込んでくるほんの数分前まで,キミがトラブルに見舞われたときにはふたりに間にどれほど高い山や深い谷があろうとも駆け付けて助けてみせると<エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ>を歌っていたのに,実際には腕のなかにいる彼女を呆然と見ているだけでしかなかった.歌うという才能を神から授けられた自分は,何ができて,何をしなければならないのか.

…この結末を知っている身からすると,2人の幸せすぎるデュエットが哀しく聞こえます.そしてタミーの死の後に発表した「What's Going On」…

不覚にも涙してしまうなぁ.

ちなみに私,昔「えー『Ain't No Mountain High Enough』って『天使にラヴ・ソングを』がオリジナルじゃないんですか」とニコニコと言った女性に,「まぁ待て,君はラヴとは何かをマーヴィン&タミーを聴いてから語れ」と説教したことがあります.3回くらい.

少なくとも歌を志す人には,2人のデュエットは是非とも聴いて欲しい.あと愛を求める人達すべてに.それじゃ地球人すべてか…

いやしかし,冗談抜きで2人のデュエットは聴いてください.ラヴソングを歌う前に,愛だの恋だのと語る前に「You're All I Need」を聴いてください.極論かもしれませんが,このアルバムを聴いていない人に男女の愛を語る資格はないと思います.何故かって?僕はマーヴィンとタミー以上の愛の形を見たことがないからです.

ものすごく真面目なヲタ話.雑誌の一記事でソウルヲタ復活モード.


ちなみに文中の「墓場まで持っていくアルバムBEST3」ですが,ここ10年くらい以下の感じ.
・Marvin Gaye&Tammi Terrell「You're All I Need」
・Marvin Gaye「What's Going On」
・小比類巻かほる「Kaleidoskope」

すみません,この3つはセットなので1つは選べません.

2006年11月06日 21:02 | URL | コメント (0) | トラックバック (0) | タバタク・コラム

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