書評:石田衣良他「Love Letter」

軽めの小説が続いて恐縮ですが,石田衣良他の作家による短編集「Love Letter」.

石田衣良に惹かれ手に取ったのですが,残念ながらこれという短編はありませんでした.軽すぎる…通常この種の本では今まで知らなかった作家を発見し他の作品を読んでみようという気になることが多いのですが,残念なことに新たな発見はありませんでした.期待外れかな.

唯一面白かったのは,石田衣良「ありがとう」.大学生の男女の恋愛+難病ものという,分かりやすく言えばセカチュー系.

こういう類型的な作品を書かせてもそれなりに面白く,かつベタベタのお涙頂戴にさせないのが筆者の筆力.ひとつには他の純愛小説とは違い,きちんとセックスを描いている点でしょうか.若い男女で(広い意味で)性の匂いを感じないというのは,ほとんど「伊豆の踊り子」の世界だものなぁ.

そういう訳で唯一それなりに読める作品でしたが,どうやらこの短編はスピンアウトして「美丘」という一冊のハードカバーで2006年に発売された模様.美丘(ミオカ)というのは作中の女性の名前ね.

興味はあるが,難病もの一冊は読んでいてつらいかも.あと最近の石田衣良には昔ほど良作がないのが敬遠の理由.テレビとかメディアに出てないで,もうちょっと執筆活動を頑張ってほしいなぁ.