書評:石田衣良「東京DOLL」「約束」

石田衣良の「約束」と「東京DOLL」が相次いで文庫化されました.単行本のときに読みましたが,文庫本で改めて読んで軽めのレビュー.最近どんどん文庫本が増えていく…

まずは短篇集「約束」.

約束
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石田 衣良
角川書店 (2007/06)
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石田衣良の短篇はおおむねオシャレで洗練されていて,雑誌の数ページコーナーにちょうどよいライトな傾向にあると思います.が,これは超ディープ.大阪・池田小学校の事件をモチーフにした表題作から推して知るべし.

生死や命の重さをテーマにしており,短篇集とはいえ読むのに覚悟が必要です.カメラマンと女性とのかりそめの出逢いを描いた「ひとり桜」が好き.

続いて「東京DOLL」.

東京DOLL (講談社文庫)
東京DOLL (講談社文庫)
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石田 衣良
講談社 (2007/08/11)
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天才ゲームクリエイター・MG(マスター・オブ・ゲーム)と,彼のゲームのモデルとなった美少女・ヨリとの出逢い,そしてビジネスの転機を描いた都会的な作品.

…とまとめると簡単ですが,恋愛モノにしたいのかゲームビジネスを描きたいのか都会のファンタジーを目指すのか,著者の意図がよく分かりませんでした.とても中途半端な印象です.私には読後何にも残りませんでした.

単行本は当時売り出し中だった香椎由宇の表紙が素晴らしくよかったのですが,文庫化でそれもなくなりましたし…

この時期(2005年)の石田衣良は,明らかに精彩を欠いていたと思いますね.「Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパークVII」を見る限りでは盛り返してきたと見るべきかもしれませんが.