書評:荻上チキ「ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性」
今,何かと話題の「ウェブ炎上」を読みました.
ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書 683)
posted with amazlet on 07.12.05
荻上 チキ
筑摩書房 (2007/10)
売り上げランキング: 11135
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初読の印象は,とても当たり前のことが書かれている本.しかし読み返すほど響く本かもしれません.
本書はウェブが炎上する過程を述べたもので,例として「のまネコ事件」「あびる優万引き事件」「川崎祭り」などが挙げられています.事件の発端から結末,背景まで.マスコミが得意とするこういった視点を,よく作業し検証した本だと思います.
なお,これらのネット上での事件について知らなくとも楽しく読めるようになっているのが本書のポイント.ネット上の事件のクロニクルとして持っておきたい一冊かもしれません.
本書のキーワードは「サイバーカスケード」.
サイバースペースにおいて各人が欲望のままに情報を獲得し,議論や対話を行っていった結果,特定の-たいていは極端な-言説パターン,行動パターンに集団として流れていく現象のことを示します.
本書で「サイバーカスケード」はよい意味でも悪い意味でも使われています.この用語は覚えておいて損はないですね.
いろいろ勉強になる本書.どちらかというと従来のマスコミのように冷静で客観的な表現かと思いますが,以下の文章が私の心に響きました.何かと叩かれるネットの現状について.
常に道徳的か否かを監視されるような状態,相互に「あいつはきちんと道徳的に振る舞っているか」を監視しあうような状態が望ましいといえるでしょうか.万人が「道徳的な生き方」をすることは,自由を放棄してなお実現すべき魅力的な生き方なのでしょうか.
筆致を抑えた中で,これが著者の心の叫びなのかなーと納得しました.
» 荻上式BLOG
2007年12月05日 22:58 | URL | トラックバック (0) | 【更新終了】書評・読書
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