書評:石田衣良「眠れぬ真珠」

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眠れぬ真珠

「愛は,経験じゃない.恋は,若さじゃない.」というコピーが打たれた恋愛小説.45歳の女性版画家・咲世子と,28歳の男性映像作家・素樹の恋と愛を描いた逸品.

石田衣良の近年の作品で読んだ中では出色ですね.別れを前提とした哀しいラヴストーリーかと思いきや,ニヤリとしてしまう結末.

「ううん,違う.女の人が自分の欲望を正直にあらわすのって,素敵だなってこと.若い子は,ぼくもそうだけど,ベッドのなかでさえ変にカッコつけたりするでしょう」
「まず心が硬くなることじゃないかな.新しいものを受けつけにくくなる.それに気づかないうちに,自分の過去の仕事をまねしてしまう.誰のどんな仕事にもピークがあって,一番いいときの自分のフォームを追求しがちなものなのよ.それで仕事は縮小再生産にむかう.セルフイミテーションは表現者の最大の敵ね」

加齢についてのいいところと悪いところを,主人公二人の口から.特に後者は,まだ31歳の青二才でしかない私には実感ではありませんが,あと15年ほど仕事をしてから振り返りたい言葉です.

…で,まだ31歳でしかない私としては,いい歳のとり方をした女性に強く憧れるということです.もともと歳上大好きを公言している私ですが,自分が30歳を超えたあたりから30代後半から40代の女性の美しさが心に沁みて分かるようになってきました.

やはり「素敵な歳のとり方」をしている女性に,賞味期限というものはないと思いたいですね.もちろん男性にも.本書の咲世子さんを見ていて,しみじみそう思いました.

先日知人女性が30歳を迎えて,愛人もまた30代に到達するのですが,女性にとっては30歳という一線は結構気になるようですね.30歳すぎてからの女性の艶やかさ(性的な意味で)は素晴らしく,そんなに悲観するものではないと思うのですが…