書評:石田衣良『非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8』

石田衣良の『IWGP』シリーズ最新刊,読了.

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非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8

以下,文藝春秋のページよりあらすじ.

悪徳人材派遣会社に立ち向かうユニオンのメンバーが次々に襲撃された.格差社会に巣食う悪と渡り合うマコト.人気シリーズ第8弾

本書のキーワードは「格差社会」.シングルマザーの仕事や幼児虐待,ネットカフェ難民,派遣社員問題といった現代の問題に切り込む作品です.

初期のIWGPシリーズは,池袋の若者やストリートギャングを生々しく描いていました.読み返してみるとなかなかハードボイルドです.ところが最近では,社会問題と,それに苦しむ若者の姿を描くようにシフトしてきました.

どちらがいいかは読者の好みによるところ.シリーズ第1作『池袋ウエストゲートパーク』発表の1998年頃にはストリートギャングというよりチーマーが社会問題になっていたので,第5作「反自殺クラブ」で書いたように,今の時代のドキュメンタリーなのでしょう.しかし個人的には,初期のハードボイルドな雰囲気が好きなんですよね.前作『Gボーイズ冬戦争』はその雰囲気でしたが…


本書ではシングルマザーの話に関連して,マコトの生い立ちが一部明らかになりました.第8作にして新しい面が見られるということは,まだまだ続くのでしょう.説教臭くならない範囲で現代社会を切り出してほしいですね.