【微ネタバレ】映画『ノルウェイの森』を観てきた

公開中の映画『ノルウェイの森』を観てきました.

観てきたといっても映画館ではなく12/6の試写会.早めにblogを書いていればアクセスが集まるのに,というのは間違いないのだが仕事が忙しかったのはしょうがない.

ということで,原作のどのシーンが採用されたかといったネタバレはなるべくしない方向で感想を書いてみたいと思います.読んだ村上春樹作品は『ノルウェイの森』『風の歌を聴け』2作だけという春樹ビギナーが語るよ.

※微ネタバレ注意






キャストの魅力

主要キャストはとにかく魅力があります.特にワタナベ・直子・ミドリの3人.

ワタナベ(松山ケンイチ)は原作のワタナベまんま.ちょっとたどたどしく喋るのが,またワタナベらしい他人と距離を置いた感じでよかったです.

直子(菊地凛子)も衝撃的でした.菊地凛子という女優さんにあまり魅力を感じていなかったのですが,初めて「かわいい」と思ってしまいました.監督がビデオオーディションを観て「彼女しかいない」と決断したのが分かるくらい凛子でした.

映画|ノルウェイの森

↑公式にも使われている直子がイイ.

そしてミドリ(水原希子).超かわええ.本職はモデルということで演技経験がある訳ではないのでしょうが,それが逆にミドリの不思議ちゃん感を上手く出していました.本当にかわええ.終盤にワタナベと喧嘩して和解する描写がありましたが,そこでの「ちょっと上から目線な感じ」が本当にミドリでした.

他に主なところでは永沢さん(玉山鉄二),レイコさん(霧島れいか)といった登場人物がいますが,彼らは役者の能力というより脚本の都合上あまり魅力がない感じに見えました.あくまで主要3人に絞った感じ.

こういう解釈もアリかも

トラン・アン・ユン監督はベトナム系フランス人.フランス映画と相性のよくない私からすると,「あ,やっぱりフランス映画だな…」という印象を受けました.『ベティ・ブルー』とかね,もう苦手.

長大な原作を2時間強の映画にすると,どうしても原作のすべてを詰め込む訳にもいかないのは確か.そこで原作からシーンを採用するにあたっての考え方が,いかにもフランス人監督だなーと思いました.日本人ならアレ入れるよね,みたいなシーンがなかったり.どのシーンがないかは自粛しますけど.

もっともこれらは尺の都合もあれば解釈の範囲ですし,トラン監督の解釈はこれはこれで面白かったです.

例えばワタナベのキャラクターについて,私は原作を読んでもよく理解できなかったけれど,松山ケンイチという役者で見て「本当に世間と隔離している」「いろいろ言っている割に相手を拒絶している」すごーく自分勝手な(あるいは変な)人間だと理解することができました.まぁよくある大二病ですけど.

また,原作の直子の魅力がいまいち分かっていなかったけれど,菊地凛子さんという稀代の若手女優を通じて彼女を「美しい」と感じることができました.そして直子がどのように壊れていくのかも.凛子の狂気が映像化されたのは女優の演技力もあるし,いかにもフランス人監督らしい手練だな,とも思います.偏見かもしれませんが『ベティ・ブルー』に通ずるものを感じました.

ということで,解釈論ではありますが,原作の補完という意味でも面白かったです.

映像・音楽の魅力

予告動画などで観られるように,映像は綺麗です.雪山のシーンは出色だし,学生運動時代を外国人スタッフが忠実に描こうとしたのも不思議でした.

特に雪山のシーン(確か兵庫県内で撮影されたはず)が印象的です.ワタナベと直子のラブシーンもさることながら,直子の療養する施設を雪深いところとして見せたために,施設と外界の距離,ワタナベと直子の距離がとても遠く見えました.

映画についてはいろいろ言いたいことはあるけれど,最後にビートルズの『Norwegian Wood (This Bird Has Flown)』が流れた時点で感動してどうでもよくなってしまったのも事実.

ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック
ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック

これから観る人へ

村上春樹ファンの人は,「私の好きなあのシーンが映像化されているかな」という視点で観て,観終わった後にファン同士で語り合えばいいと思います.よく冷えたビールを飲みながらね.あとワタナベが何回「やれやれ」「もちろん」を言うか心の中で数えておくのも忘れずに.

村上春樹ファンでない人は…観に行くのかな.ファンの人と行くと喧嘩になるかも…フジテレビで放映されるのを待てばいいような気がします.