タグ「石田衣良」が付けられているもの

車とドライブと,その周囲にある恋愛や夫婦生活を軸に据えた短篇集「あなたと、どこかへ。 eight short stories」.初出は日産自動車TEANAのサイトだそうです.

オシャレな車の宣伝サイト,しかも片岡義男,石田衣良,角田光代,川上弘美,谷村志穂といった腕利きの8人が並ぶ!ということでスタイリッシュな作品が並びます.量的にも軽く,また誰も傷つかず,温かな短篇集です.

本を読むためにリゾートホテルに3泊4日の旅に出るという石田衣良の話など,オシャレすぎて憎たらしいですねw

個人的な収穫は吉田修一.「東京湾景」「春,バーニーズにて」「7月24日通り」などの中篇は読んだものの,正直よさが分かりませんでした.しかし,巻頭を飾る「乙女座の夫,蠍座の妻」を読んで納得.短篇として読むと,穏やかな文体,生活のワンシーンを切り取る上手さが光ります.テレビドラマ1クールよりも,雑誌のオシャレな特集・数ページ向きというべき巧みさ.

なお一番笑ったのが,巻頭の同作品の中でも,そのまた書き出しの一節.これを読んでニヤリとした人は私と同じチーム神経質に認定.そんな私達のパートナーは,往々にして神経質っぷりをなんとも思っていないチーム大雑把(もしくはフリーダム)だったりするのですが,それもまたディスティニー.

正月用に買ってきたはずのインスタント食品は,正月が来るまえに食べてしまう.「正月用に買ってきたんだろ?」と呆れて訊けば,「この即席感に,つい負けちゃうのよね」と言いながら,目のまえで冷凍の肉まんなんかをレンジでチンする.チンされれば,こちらも腹が減っていないわけでもないので,「どれ,ちょっと一口」と,つい手を出してしまい,「なによ,結局,食べるんじゃない」と失笑される.

引用して気がつきましたが,柔らかい文体ですねぇ.

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズの第7弾.書店に新刊で並んでいたので速攻レビュー.

これは正直面白かった.第6弾「灰色のピーターパン」で辛口なレビューをした後でアレですけれど,ここ数巻の中では久しぶりに興奮しました.中篇となる「Gボーイズ冬戦争」がいい.大きな話となるストーリーはいいですね.勢いを取り戻しました.

本作は,主人公・マコトと池袋のキング・タカシの友情物語と見ました.下克上を狙うGボーイズのNo.2・ヒロト.「今度はキングを,おれが守る」の言葉に偽りなし.そして前作のレビューで指摘した,いい歳になったマコトとタカシが描かれていて満足.

表題作の主役はほとんどタカシ.タカシいいなぁ.そして,このところマンネリだった中で新たなサブキャラ「影」.タカシにも似たクールでストイックなキャラの登場に興奮しました.まだまだ登場するであろう名脇役となるのでしょうか.

また,マコトとタカシの握手シーンがプロローグとエピローグで描かれていますが,そのシーンの照れくささをタカシとマコト双方の主観で描いているあたりが巧い.

再び勢いを取り戻したといえるIWGPシリーズ.初期と同じく,続きが読みたい!と思わせてくれました.

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)シリーズの最新刊を読了.

悪く言えばマンネリですが,安心して読めます.普通に面白い.ただ,私が読むのに慣れてきたこともありますが,初期ほどの衝撃はないですね.

石田衣良のデビュー作ということになっているシリーズ第1作「池袋ウエストゲートパーク」を初めて読んだときには引き込まれました.表題作の他,中篇の「サンシャイン通り内戦(シビル・ウォー)」なんて神がかっています.

何より主人公のマコト(ドラマだと長瀬智也),ストリートギャングの王様タカシ(窪塚洋介),ヤクザのサル(妻夫木聡)といったキャラクター設定が見事です.あぁこういうヤンチャな若い人達いるいる,と思わせてくれます.ちなみにドラマしか観てない人のために解説しておくと,原作のタカシはもっとクールです.

ところがシリーズが進むごとにパワーダウンしてきているように思います.いい話なんだけどマンネリ.デビュー作が一番凄いというのはよくある話ですけど,なんだか水戸黄門のような勧善懲悪モノになっている感があります.

また,登場人物が初期(19歳頃)から年齢を重ねているはずなのにも関わらず,あまりキャラクターが変化していないということに違和感を覚えます.若い頃ならヤンチャもいいけど,マコトもタカシもそろそろ20代半ばにさしかかるだから…なんてことを考えると,どうにもリアリティを感じられなくなってきました.

IWGPシリーズは作者のライフワークだからまだ続くでしょうが,もし完結するときには「現実と折り合いをつけて生きていくマコトやタカシ」の姿を描いてほしいと思います.


それにしても読み手の要求が厳しくなったのもありますが,石田衣良の作品のクオリティは年々低下しているような気がします.

なお著者の他の作品では,IWGPシリーズの第3作「骨音」中の「ミッドサマー狂乱」は必読.シリーズ外では「娼年」とか「うつくしい子ども」とか.

なんだか話題になってないので本屋大賞の話を.4月5日,2007年本屋大賞が発表され,1位は佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」だそうです.

リンクはっといてなんですが,読んだことないです.筆者もよく知らない.というか,1位から10位まで,もれなく読んでいない.

否,過去4年のノミネート作品を見てもほとんど読んでいないです. かろうじて石田衣良「4TEEN」,市川拓司「そのときは彼によろしく」島本理生「ナラタージュ」くらいか.

もともと単行本の時点ではあまり本を買わないということもありますが,私の読書趣味がいかに流行りから外れているか,ですね.リリー・フランキーさんの大ファンでエッセイ全部持ってる,サイン本は家宝にしている割に「東京タワー」は読んでいないですからね.

今回ノミネートされた作品も,再来年くらいには読んでいるかもしれません.

書評:石田衣良他「LOVE or LIKE」

石田衣良, 中村航,本多孝好といった若手男性作家6人による恋愛短編集.

微妙.タイトル通り「好き」と「愛してる」の違い…みたいな短編が並びますが,テーマがテーマだけに青臭い.しかも学生といった若い世代,小学生までも描いてしまっているので,ジュブナイル小説のような印象すら受けます.読んでちょっと失敗.って同様の短編集「Love Letter」を読んだときも同じこと書いてる.

読んでて面白かったのは中村航.ふわふわしている文体ですね.手紙の交換を描いたほのぼのした作品ですが,こんな感じのメルヘン系が多かったら飽きますな.単著を読んでみましょうか.

本多孝好は…まるっきりジュブナイルと思いきや,最後にちょっとブラックで笑えました.Amazonのレビューを見ると,この方はシニカルな傾向があるのでしょうか.こちらも気になる作家です.

そんな感じで,ちょっと気になるけど読んだことがなかった若手2人の文体がなんとなく分かったという意味でのみ収穫.石田衣良は確実に筆力が落ちているなぁ.同じ恋愛短編でも初期の「スローグッドバイ」あたりは神なんですけど.

書評:伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

一昨年から石田衣良,昨年から東野圭吾を読み始めましたが,刊行されている書籍をだいぶ読み漁ってきたので,そろそろ次のミステリ作家を…ということで伊坂幸太郎に初チャレンジ.初期の作品「ラッシュライフ」.

以下,ネタバレ.

あぁこれは蟹のカノンなのね,というのが読後の感想.蟹のカノンというのは前後で対称となる作品のこと.もとはバッハの楽曲だったかな.

発想は面白いんですが,ひとつひとつのエピソードがあまり際立っていないのが残念.特に前半は話がどこに収束するのか見えなくて退屈でした.中盤から後半にかけては一気に読めましたが…

ちょっと評価は保留ですかね.他の作品を読んでみたいところ.映画化された「陽気なギャングが地球を回す」の噂は聞こえていますが,必ずしもミステリの枠に収まる作家でもないようですね.

しかし…東野圭吾といい,技巧的な作家によく当たりますね私.たまたまなんですけど.

どうでもいいシンクロニシティ

  • 投稿日:
  • by
  • タグ:

昨晩発見した脱力モノのシンクロニシティ.

私と愛人,どちらも読書好きですが本の趣味はまったく違います.

例えば私は流行の恋愛小説(「セカチュー」とか「いま会い」とか)を読みますが,彼女は流行なんぞどこ吹く風のGoing My Way.歴史モノ好きは共通ですが,私が司馬遼太郎や隆慶一郎を好み時代と国を限定しないのに対し,彼女は司馬遼太郎読まない&日本限定&幕末モノ嫌いという感じ.ミステリにいたっても,私が石田衣良・東野圭吾のような心理に迫る新進作家を好む一方,エラリー・クイーンやアガサ・クリスティのような王道推理モノを好む彼女.

まむがの趣味嗜好にいたっても同様.趣味がまったく違う上に互いに影響されないガンコ者.そんな訳で結構アレな30代(四捨五入すれば)な二人組.しかし,示し合わせたように偶然にも同一の本を互いに購入していたことが発覚しました.

石田衣良プロデュース ドラマ「37℃」

「池袋ウエストゲートパーク」(IWGP)などでおなじみの作家・石田衣良プロデュースによるドラマ「37℃」(よみうりテレビ)というものがあるらしいですね.関西地区では7月23日(日)午後 3時〜4時25分放送だそうです.緒川たまき,遠山景織子といった私のツボどころの女優さん出演.

Chineseに英語でからまれた&東横インの対応に感激

そんなわけで愛媛から東京に移動したmixvoxです。明日の仕事の都合から池袋という危険地帯,mixvoxの年齢半分くらいの若者達が活躍する場かと思いますが,あまり言うとオヤジ狩りに遭うのでツッコミはこの辺で。

さて,そんな池袋北口(INGP?)に泊まっている私,コンビニで中国系のカップルにからまれました。

って正確には,プリベイト携帯を買おうとしている中国系の夫婦&応対に苦労しているファミマの若い店員がいて,こりゃ助けないとと思って英語で手助けしたんですけど。そんな私の買い物カゴにはボジョーレー・ヌーヴォー。解禁日だし。

「Sir, could I help you?」
「(流暢な英語で)いやぁ香港に今スグ電話したいんだけどさぁ,これ今スグ使えるの?」

ファミマ兄ちゃんや店長とやりとりした挙句,どうもプリベイト携帯電話は今すぐ使えない,この辺りに公衆電話もないということで落ち着いて感謝して別れました。その後コンビニのレジでお兄ちゃんに感謝されながら会計しつつ話してたんですけど。

「この辺り外国の方多いの?」
「いやぁ結構多いッスよー」

うーむ。池袋ってそんな街だったっけ?ってそんな私,池袋に来るのほぼ10年ぶり。ちなみに石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」は愛読書。

んで歩いて50mのホテル(東横イン)に戻った私,ロビーに例のカップルがいるじゃないですか?えー彼ら宿泊客?ホテルのフロントの若い女性に事情を話したところ,「研修中」の名札をした彼女は言いました。「分かりました,それではこちらで承ります。」そして私以上に流暢な英語で対応。

その鮮やかさにちょっと感動しました。いやー東横インってコストの面からもサービスの面からも(もちろんコスト見合いね)素晴らしいホテルだと思いましたけど,こんないい加減なオーダーにも対応してくれるなんて。しかも「研修中」の方ですよ?

東横インってすごいな…型どおりのマニュアル対応と思いきや,顧客第一主義が浸透しているんですね。ますますファンになりました。

書評:石田衣良「波のうえの魔術師」

石田衣良「波のうえの魔術師」を読みました.

波のうえの魔術師 (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋 (2003/09)
売り上げランキング: 17361

株式投資をテーマにした小説.私は株には明るくないですが(興味はありますが),株の入門書としても楽しめるのではないでしょうか.実際,私はこれを読んで,株を始めたくなりました.

ただ結末が大どんでん返し.22,3の若者の主人公にこの結末は厳しいのではないでしょうか.石田衣良氏のミステリー特有の救われなさ,でしょうか(「エンジェル」然り).

書評:石田衣良「スローグッドバイ」

初めて石田衣良氏の本を読みました.何故ミステリーから読まない!とお叱りの声を頂戴しそうな,恋愛短編集.

スローグッドバイ (集英社文庫)
スローグッドバイ (集英社文庫)

綺麗な装丁ですよねぇ…

軽く読める,一気に読める,幸せな気分になれます.難しい本や悲しい物語を読みたくないときに最適だと思います.と言いますか,これを読むと恋愛したくなりますね.著者の描写のうまさに引き込まれ,すっかり氏の作品にハマるきっかけとなりました.

10篇のうち特にオススメは,友人の元彼女との恋愛プロセスを描いた「泣かない」,別れたカップルのさよならデートをテーマにした表題作「スローグッドバイ」.

書評:野沢尚「恋愛時代」

最近ハマっている作家のひとり・野沢尚氏の作品「恋愛時代」を読みました.

恋愛時代〈上〉 (幻冬舎文庫)
野沢 尚
幻冬舎 (1998/08)
売り上げランキング: 19942
恋愛時代〈下〉 (幻冬舎文庫)
野沢 尚
幻冬舎 (1998/08)
売り上げランキング: 22521

一単元ごとに男側・女側の語り口調になっているという面白さに惹かれて,上下巻合わせて購入しました.

結果としてはもう一声.主人公達は離婚した元夫婦という設定ですが,いかにも最初からヨリを戻すのが明白で,そんなために周りを振り回すなー!という感じで.

ただ私は最近「夫婦とは?」「結婚とは?」と考えることが多いお年頃なので,平均点を.

書評:石田衣良「うつくしい子ども」

マイミクのナオトさんに紹介されて石田衣良「うつくしい子ども」を読みました.私にとっては石田衣良最初の長編です.

うつくしい子ども (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋 (2001/12)
売り上げランキング: 36658

殺人事件の犯人が誰かってのは帯を見れば最初から分かっているのですが,その外堀を埋めていくと同時に伏線を張っていく著者の表現力に脱帽です.

神戸の例の少年犯罪事件をモチーフに描かれたそうで,いろいろ考えさせられる作品です.しかし,それ以上に,主人公達のように信頼できる友達と少年時代を過ごせたらなぁ…と失われた日々を懐かしく思っています.